2019年12月5日木曜日

親が認知症になったあとでも打つ手はある!

 では、親が認知症になった「あと」に何かできることはないのでしょうか。先ほどもお話ししたように、本人が認知症になってしまう(判断能力が十分でない)と、預金口座が凍結されてしまうことがあります。親が認知症になり、預金口座が凍結されてしまってから解除する方法はただ1つ。それが2種類ある成年後見制度のうちの「法定後見制度」(以下、一般的に浸透している「成年後見制度」と記述します)です。
 成年後見制度とは、家庭裁判所に申し立てをおこない、家庭裁判所が選んだ後見人が財産を管理する制度です。後見人は、凍結された口座からお金を下ろすことはもちろん、不動産の売却などもできます。実際は、本人の判断能力が低下し、財産の管理ができない、不動産の売却ができない、介護サービスや介護施設の利用契約を結べないなどの現実に直面し、子どもなどの親族が申し立てをすることで制度の利用がはじまることが多いようです。
 ただ、この申し立ての手続きは非常に煩雑で、手間も時間もかかります。私たちが実際に成年後見制度を利用している人に話を聞くと、かなり大変だといいます。「いつも拘束されているような気がする」ともおっしゃっていました。
 成年後見人に選ばれるのは、弁護士や司法書士などの専門職の人たちがほとんどで、子どもなど親族が成年後見人になれる確率は低いのです。第三者が後見人になれば、定期的に報酬が発生します。たとえ子どもなどの親族が後見人になったとしても、自由に財産を使用できるわけではなく、常に裁判所のチェックが入ります。大きなお金の使用には裁判所の許可も必要で、正当な理由がなければ許可されません。
 親の入院や、介護施設への入居など、大きなお金を動かす場合にももちろん、裁判所の許可が必要になります。しかし、一度この制度を利用してしまえば、不便でも従わざるを得ません。成年後見制度は、判断能力が低下した本人を手厚く保護できる一方で、柔軟性が低く、正直なところ、家族にとっては面倒な手続きが増えることが多いようです。

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