2020年1月18日土曜日

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 内閣府は17日の経済財政諮問会議で、中長期の経済財政に関する試算を提出した。財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の見通しは、高めの経済成長を前提としたシナリオでも、政府が黒字達成の目標とする2025年度で3・6兆円の赤字。昨年7月の前回試算(2・3兆円)から赤字幅が拡大した。PB黒字化の目標実現は一段と遠のいた形で、歳出削減などの取り組みが求められそうだ。
 内閣府は年に2回、経済成長率と財政の将来見通しをまとめた中長期試算を公表している。PBは国と地方の政策経費を借金に頼らず、どれだけ賄えているかを示す。
 試算は国内総生産(GDP)の成長率が20年代前半に実質で2%程度、名目で3%程度に上昇する「成長実現ケース」を前提とした。25年度のPB赤字が拡大したのは、海外経済の減速で法人税収が減少していることが主な原因。20年代前半の成長率を実質、名目とも1%程度と想定する「ベースラインケース」では25年度のPB赤字は8・2兆円とさらに厳しい数字となる。
 今回の試算は21年度以降の歳出改革は織り込んでいない。内閣府は「今後、着実な歳出改革を進めれば、25年度のPB黒字化も視野に入る」と説明。麻生太郎財務相は、経済財政諮問会議で「(PB黒字の)目標達成のため、社会保障をはじめとした歳出改革にしっかりと取り組んでいく」と話した。
 しかし、急速に進む少子高齢化で社会保障費が膨らんでおり、経済成長と財政再建をどう両立させるかが改めて問われそうだ。【森有正】

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