2020年1月2日木曜日


(ブルームバーグ): フランスが今必要としないものが一つあるなら、それは自由の身になったカルロス・ゴーン被告だろう。
  会社法違反(特別背任)の罪などで起訴されたゴーン被告は日本で公判を待つ身だったが、当局の目を逃れて出国しレバノン入りしたことが先月末明らかになった。問題は今後の同被告の動きだ。
  妻のキャロルさんは先月、ブルームバーグテレビジョンに対し、ゴーン被告が国籍を持つフランスでの裁判を望んでいると語っていた。同被告がパリ入りした場合、フランスと日本の関係は複雑なものになるだろう。マクロン仏大統領はルノー・日産連合の強化を試みている。一方でフランスの方針では、市民を欧州連合(EU)域外には引き渡さない。
  また、フランスとレバノンは緊密な外交関係にあり、フランス当局はゴーン被告がレバノンにとどまる間何らかの支援を行う義務があり、同被告と日本側の騒動に巻きこまれるリスクがある。
  パニエリュナシェ仏経済・財務副大臣はラジオ局フランス・アンテルに対し、「外国人市民がフランスの司法を逃れることがあれば、われわれは激しく怒るだろう」としながらも、ゴーン被告については「レバノンとブラジル、フランスの市民であり、すべてのフランス人と同様に領事支援を受ける権利がある」と付け加えた。
  フランスはゴーン被告の逮捕後、微妙なバランスを取ろうと努めてきた経緯があり、こうした発言もその一つだ。仏政府は日本の主権や法的手続きを尊重しつつ、自動車メーカーのルノーを巡り同政府と関わってきた元経営者に基本的支援を与えてきた。同社筆頭株主である仏政府としては、重要な製造業者の1社にとって不可欠な関係を守ろうとする中で、日本を敵に回す動きは懸念材料となる。

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