2020年4月27日月曜日

中小企業が新型コロナ下を生き抜くカギは「借金嫌い」の克服 中には「起死回生」となる業界も? 2020/04/27 08:00 ●「破格の条件」で利用できる制度も  具体的には、新型コロナウイルスを受けた日本政策金融公庫の実質無金利融資をまず検討するべきだ。これは既に資金繰りが悪化した方々の“駆け込み寺”ともなっているので、申し込みが殺到して大変混雑しているということであるが、それでもお勧めしたいありがたい融資だ。  主に中小零細企業を対象にした制度では、融資限度6000万円を無担保で期間15年以内(設備資金なら20年)、利息のみの支払い期間である「据置期間」も5年以内で利用可能で、3000万円までは3年間は実質無金利。3年後の金利も通常より0.9%低く、現時点では0.46%程度で借りることができる。一定の売上減少条件等に適合すれば、申し込むことが可能だ。ただし、事業規模などに応じて、減額となる可能性もあるので要注意。  これは「破格の条件」であり、平常時であれば、中小零細企業がこのような条件で運転資金を借り入れることは、ほぼ不可能だといっていい。3000万円を借りたとしたら、3年は実質無金利、5年間はひとまず返済しなくてもよいのだから、少なくともコロナ禍の間は金利もかからず、返さなくてもいい、ということだ。  その後、残り10年間(つまり、月換算で120回)で分割返済と仮定すると、3000万円を借りた場合は毎月25万円を返済すればよい。これなら、なんとかなるところも多いのではないか。さらに、既存の公庫借入がある場合は、新規需要だけではなく、借り換えに充てることもできる。資金繰りが今は切羽詰まっていなかったとしても、要件に当てはまるなら、これは利用しない手はない。 ●苦境続きの地銀や信用金庫にとってチャンスとなるか?  膨大な数の中堅中小企業が災害によって、アフターコロナまでの、つなぎ資金を必要とするため、近時ありえないような資金需要が発生している。中小企業は存続に向けた難しい経営のかじ取りを迫られているが、公的支援である制度融資の窓口となる地域金融機関(地銀や信用金庫など)も、その存在意義を問われている状況だ。地域経済の縮小や低金利時代での利幅縮小などの環境変化により、多くの地域金融機関は今後の事業展開が難しくなっている。新型コロナ禍の金融環境はこうした状況を一時的に緩和するかもしれない。  地域金融機関にとっては、リスクのない保証付き制度融資(新型コロナ特別枠は、保証協会100%保証なのでリスクなし)へ積極的に対応することで、融資残高を大きく伸ばすことができ、利幅は大きくはないにせよ、金利収入を増やす可能性は大きい。無金利融資も利子を公的支援で補填するので、金融機関に利息収入は入るからだ。この状況を踏まえれば、制度融資の申し込みが殺到して対応に追われている地域金融機関ではあるが、大きなチャンスが到来したともいえる。  一般的に考えれば、新型コロナ禍による企業倒産が急増し、地域金融機関も不良債権が増えて経営が厳しくなることは避けられない。しかし、こうした非常時こそ、金融機関として公的支援と連携してリスク管理は徹底しつつも、地域企業を支援するか否かで、今後の運命が分かれる。積極的に制度融資に対応し、既存の取引先を支援しつつ、新規先の取り込みを強化できれば、これまでは細る一方であった顧客基盤を一気に拡大できる可能性がある。リスクを負いながら開拓した顧客基盤は、アフターコロナの景気回復期の前向き資金需要をもたらすはずだ。非常時対応の巧拙が、地域金融機関の生き残りにも大きく影響することになりそうだ。 (中井 彰人)

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