2020年4月14日火曜日

中国の習国家主席は漢方を普及させ、中国共産党を中国の古代からの知恵を代表する存在に再定義することに注力しているという。写真は3月の武漢訪問の時のもの=AP 世界各国の当局は市民に対して、新型コロナの治療に代替療法を使うのは注意する必要があると呼びかけている。ところが中国では政府が伝統中国医学(中医学)、いわゆる漢方を大々的に推進している。中国国家衛生健康委員会はこの1月、新型コロナ感染拡大の危機が高まったのを受け、政府が推奨する治療法に一連の中医学による治療法を加えた。さらに、患者(軽症患者向けに中医学の病院が設置された武漢市のスポーツセンターに入った患者など)に伝統療法を施すため、5000人近くの専門家を湖北省に送り込んだ。国家中医薬管理局の高官は3月23日、新型コロナの患者全体の90%以上に漢方の治療を施し、そのうち90%に「効果があった」と発表した。もっとも、この主張を裏付けるデータは示さなかった。 中国では現在、新型コロナの感染拡大は鎮まっている。感染拡大が世界で初めて確認され、それにより最も深刻な打撃を受けた武漢市の2カ月半に呼ぶ都市封鎖は4月8日、解除された(武漢市は3月に、前述の中医学病院を含む16の仮設病院も閉めた)。 その中国が今、この中医学の療法を海外にも普及させようと力を入れている。中国がカンボジアやイラク、イタリアに派遣した中国の医療専門チームには中医学の施術者らも含まれている。政府は他の国々にも漢方薬を寄付したと明らかにしている。中国共産党系の有力紙「環球時報」は、中国の中医学専門家らが新型コロナとどう戦ったかを学ぶ電話会議が最近開かれ、64カ国・地域から9万人が参加したと報じた。国営メディアは3月中旬、中国の新型コロナへの中医学の活用は、アフリカ諸国が倣うべき「手本」かもしれないとするタンザニア保健当局の高官の発言を伝えた。 中国政府は中医学だけで治療することは推進していない。重症患者には従来の治療を提供している。中医学専門医らが、特に深刻な病気について「西洋医学」の有効性を否定することもまずない。だが、中医学は単なるその場しのぎの症状緩和策でもなければ、偽薬でもなく、きちんと効果のある療法だと政府は主張する。2016年に発行した白書では中医学を「医科学」の一つの分野として位置づけ、これを「再び大いに活用する」時代が到来したと強調した。

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