2020年4月26日日曜日

迅速性という意味で、企業にとって重要になるのが3つ目の「プロパー融資」だ。各金融機関が特別融資の設定やファンドの立ち上げを行い、仕組みは整っている。過去に取引のある企業であれば「最短、即日での融資も可能」という金融機関もある。 これから難しい判断を迫られる  だが、仕組みが整っていても民間の金融機関が積極的にプロパー融資に動くかどうかは別問題だ。「メインの取引先はすべて支える」(信用金庫幹部)、「今は選別せず、基本的に支えていく」(地方銀行幹部)と腹を決めるところがある一方、「取引先からの相談を受けた対応は、日本政策金融公庫の紹介とマルホ付きが大半」(地銀の営業担当者)、「正直返せるあてがあるか微妙なので、プロパー融資の審査はかなり厳しい」(大手銀行営業担当)という声も聞かれる。  民間金融機関は1つめと2つめの対応にいつまでも頼れるわけではない。日本政策金融公庫の場合、小規模事業者の融資限度額は6000万円(このうち、3000万円分の金利が特別貸付の対象で実質無利子に)、中小企業の融資限度額が3億円(このうち、1億円分の金利が特別貸付の対象で実質無利子に)となっている。金額は異なるが限度額があるのはマルホ付きも同じだ。  今後も自粛ムードが継続すれば、企業の業績は一段と悪化し、資金繰りがさらに厳しくなる。公庫やマルホの融資では運転資金が足りず、企業から民間金融機関にプロパー融資の要請が大幅に増えるだろう。民間金融機関が自らリスクを取って急増した融資要請の可否を判断する局面が早晩訪れるはずだ。  そのとき、過度にリスクを意識して取引先の追加支援を控えれば倒産が多発する。一方、融資要請にすべて答えた場合、不良債権化して金融機関の財務を毀損するリスクが膨らむ。一定の損失が出ることを覚悟して、企業からの融資要請にどこまで応えるのか。いつ収束するともわからない新型コロナの感染拡大。先行きがきわめて不透明な状況下で、目利き力を求められる金融機関にとって、これからが正念場だ。

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