2020年4月15日水曜日

航空会社の減便は国内線にも及んでいる。ANAは4月9日、翌10日から19日までの国内線のうち、49%に当たる56路線1523便を減便すると発表した。4月7日に政府が非常事態宣言を出したことで、予約が大幅に減少したことを受けた。航空券が乗車券を手数料無しに払い戻しており、業績への影響は計り知れない。  JR西日本は4月10日、新型コロナウイルスによる政府の「緊急事態宣言」が発効した後の4月8、9日の2日間でみると、山陽新幹線と在来線特急の乗車率がいずれも前年同期の17%に落ち込んだと発表した。長谷川一明社長は記者会見で「経験したことのない厳しい経営環境」だと語ったと報じられた。  こうした交通インフラ企業の場合、人件費や資材費などの固定費が大きい。売り上げの激減で、いわゆる損益分岐点を下回ると、巨額の赤字が出る。欧米企業のように一時帰休や解雇によって人件費をカットできれば、固定費を早期に削減することは可能だが、長期雇用を前提とした日本企業では簡単には人員整理はできない。  もっとも、そうやって人員を削減してしまえば、新型コロナの蔓延が終息した後も、旧来の事業規模に戻すことは難しくなる。経済を支えるインフラとして、人員削減や事業規模の縮小はできないのだ。つまり、赤字を出しても耐え忍ぶほかに術がない、ということになる。  日本企業の場合、比較的手厚い内部留保を保有している。この連載の1回目でも触れたが、2018年度の日本企業(金融業・保険業を除く全産業)の利益剰余金、いわゆる内部留保総額は463兆円に達する。2008年度以降増え続け、ここ7年連続で過去最高額を更新してきた。

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