2020年4月14日火曜日

感染症は人類史において大きな脅威であり,医療の発達の過程で感染症が大きな存在であったことは洋の東西を問わない。いまだに日本漢方が重視する古典の一つが『傷寒論』である。後漢末(2世紀終わり頃)に中国で疫病が大流行し,筆者,張仲景の親族の2/3が亡くなるという状況で,感染症の臨床症状の事細かい観察とそれに応じた漢方薬が記載されている。1918年のスペイン風邪流行の際にも,森道伯が胃腸型には香蘇散加茯苓・白朮・半夏,肺炎型には小青竜湯加杏仁・石膏,脳炎を引き起こした場合には升麻葛根湯に白芷・川芎・細辛を加減して卓効を示した,という記録を残している8)。

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