2020年4月8日水曜日

 リーマンショック時の2倍という超大型経済対策は、安倍政権の危機感を反映したものだ。対策のスケジュールは、安倍首相が3月28日に新型コロナウイルスに関する3回目の記者会見を行った段階で、「4月7日閣議決定→補正予算案の4月21日国会提出→4月24日成立→5月上旬から実施」という日程がすでに固まっていたとされる。  ただ、経済対策の規模を、当初想定された20兆~30兆円から一気に108兆円としたのは、「首相決断によるサプライズ」(官邸筋)と受け止められた。7日に緊急事態宣言と超大型経済対策をワンセットで打ち出したのも、「首相の練り上げた作戦通り」(自民幹部)との見方が少なくない。  7日の記者会見で安倍首相は、緊急事態宣言発令の理由として「医療体制は危機的状況で時間の猶予はなくなった」ことを強調。その上で、コロナショックに対応する最重要ポイントとして「人と人との接触を7~8割削減できれば感染拡大は防げる」と国民の協力を繰り返し訴えた。  そして、「日本経済は戦後最大の危機だが、雇用と生活は守り抜く」「正しい情報に基づいて冷静に行動してほしい」などと語った 安倍首相はあえて熟慮のふりをした  これに対し、野党側は「遅きに失した緊急事態宣言」(枝野幸男・立憲民主党代表)、「ふくらしこで膨らませた経済対策」(玉木雄一郎・国民民主党代表)とそろって批判した。事前の国会報告となった衆参議院運営委員会の質疑でも、野党側は「自粛要請と休業補償などがワンセットでなければ、感染拡大防止にはつながらない」(小池晃・共産党書記局長)などと追及した。  ただ、野党も緊急事態宣言発令は評価せざるをえず、「協力できることは最大限協力する」(枝野氏)と、補正予算の短期審議・成立にも理解を示した。このため、与党からは「批判は単なる野党の遠吠えに終わった」(自民幹部)と余裕の声も相次いだ。  安倍首相の決断の経過を振り返ると、「手遅れ批判も甘受して、あえて熟慮のふりを続けてきた」(閣僚経験者)との見方も少なくない。宣言発令の準備を整えた3月末以降、安倍首相や西村康稔・コロナ対策担当相は「躊躇せずに決断」というセリフを繰り返してきた。

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